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笹幸恵
2019.12.18 15:13日々の出来事

「ジェンダー・ギャップ指数」過去最低

男女平等の度合いを示す「ジェンダー・ギャップ指数」で
日本は過去最低の121位(前年は110位)。
上位には徹底した個人主義の北欧や、発展途上国が入っていて、
ランキングが上位であることと幸福感は必ずしも一致しないと
思うけれど、このギャップは、ひとつの指標にはなる。

「ジェンダー・ギャップ指数」は、
経済、教育、健康、政治の4つの分野で構成されている。
日本の場合、教育と健康はほとんどギャップはない。
多くの先進国でも同じ。
ではどこで差がつくかと言ったら、経済と政治だ。

経済は、労働力の男女比や賃金格差、管理職の割合など。
政治は、国会議員や閣僚などの男女比などで算出される。
要するに、日本ではいまだに女性が働く賃金は安く抑えられ、
圧倒的に女性政治家が少ない国なのだ。

ちなみにフィンランドでは今月、34歳の女性が
首相に就任した。
しかも連立5与党のうち、3党の党首が30代女性。
うへ~~。
そもそもこうしたことが日本で考えられるだろうか?
日本では若い女性議員が少子化問題を提起をしたら
「お前が産め!」とヤジが飛ぶ。
女というだけで、議論の正当性は無視され、
その属性が攻撃対象になる。
政治家になりたいと思う女性が少ないのも無理もない。
国民の象徴である天皇も、女という属性だけで
直系なのに無視しようとする。

また、安倍首相がどんなに女性活躍を謳っていたって、
しょせん企業は使い捨てができる派遣やパートの女の
ほうが都合がいいし、「おばちゃん」を正社員には
したがらない。
以前、知り合いから営業職の正社員が欲しいんだけど
誰かいないか、という話がきたことがあった。
物腰やわらかでユーモラスな女性がいると伝えた。
業界のことも、それなりにわかっている人だ。
けれど彼女は48歳。途端にこの話はナシになった。
20代の人がいいんだよね、とのこと。
全く意味がわからなかった。
人生経験豊富な人のほうが、営業先でいろいろな
サポートができるんじゃないのかな。
世間話もうまいから、人間関係をつくるのにもぴったりだ。
謙虚な性格なので、年下から仕事を教わることも問題ないし、
生活の大変さを感じているから、正社員になれば
定年までしっかり働いてくれるだろう。
いまどき、若い人を採用してイチから育てたところで、
ずっとその会社に貢献してくれるとは限らない。
にもかかわらず、営業には「若い女性」がいいのだ。
「若い男性」なら、もっといいのかもしれない。
古い体質の会社だなあとつくづく思ったけど、
そういう企業ってまだきっと多いのだろう。

出産育児が一段落した女性に活躍の場がない。
こういう現実を考えると、女性活躍などというフレーズが
ほんと絵空事のように聞こえてしまう。
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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